Building management & Energy management

ごみ焼却場の仕事|ボイラー管理業務



🏭 環境プラント業務は近代化されたボイラー管理業務

環境プラント業務を具体的に言うならば、環境プラント業務とはボイラー管理業務です。

それも旧態依然の全部手動で制御するボイラーではありません。

今ではコンピューター自動制御が主流です。

近代化された設備の中で仕事をすれば、テクノロジーとの親和性すら感じます。

よって、働く方のセルフイメージも上がります。

私たちは、つい「ごみ焼却場」と呼んでしまいます。

よって、「ごみ=たいしたことない」といった認識が少なからずあります。

そういった認識から、世間の印象はあまりよくないものと思われがちです。

ところが、実際そんなことはありません。

そこで働く人たちは、れっきとしたボイラー技士です。

環境プラントの衛生面

施設内では臭いのキツイ場所がありますが、我慢できないほどの臭いではありません。
現場を清缶剤で消臭していますし、何時間も同じ場所に居るわけではありません。
そこは、浴室・洗濯機がありますので大丈夫です。
(現場はマスク着用です/一部の場所では防護服着用です)

ローテーションが組まれた1日の流れを解説

環境プラントは大きく分けて、ごみ焼却運転班・粗大不燃班・灰溶融班の3つに仕事が分かれます。

このサイトでは、ごみ焼却運転班を主体で解説させていただきます。

まず、仕事でやることを大別すると『プラントの運転』『設備営繕』『保守管理』です。

ドーム球場くらいの大規模な事業所では1班~4班までの班編成で、ひと班おおよそ6人です。

班員編成はトップの班長、二番手の副班長、以下は(焼却)運転員です。

おおよそ6人の班員たちで1日のスケジュールをローテーションで回していきます。

例えば、1人はクレーン担当で、2人は巡回点検で、2人は現場作業で、1人は中央監視といったところです。

巡回点検の2人と現場作業の2人は1日のメニューが終われば中央監視の補助に入ります。

これらの仕事を日ごと巡繰りで回していきます。

中央制御室内では具体的になにをやるのか?
💻オペレーターが知っておくべき4つの中心的な仕事

1.CRTによる燃焼監視

中央制御室にいる人たちは、交代で24時間燃焼監視をしています。

燃焼監視ではなにをするのか
  • 運転監視操作卓CRTでCO,HCL,NOX等の公害値を抑えるための操作をします。
  • 炉内に送り込む空気を遠隔操作でダンパを開閉しながら燃焼を調整します。
焼却炉の中はどうなっているのか?

燃焼監視において焼却炉の中を知っておく必要があります。

どの事業所も焼却炉はストーカー式が主流です。
ストーカー式焼却炉 kawasaki

炉内は火格子と呼ばれるブロックを組み合わせて作られたステップが上下に自動で動きます。

そのステップは乾燥段・燃焼段・後燃段というふうに3段の断層で形成されています。
乾燥段・燃焼段・後燃段 kawasaki

まず、クレーンでごみ投入ホッパーから入れられたごみが、給じん機という場所に落とされます。

給じん機とは、ごみ投入ホッパー真下の部分です。乾燥段と呼ばれるステップに自動でごみを小刻みに落としてくれる機械です。

給じん機で小刻みに落とされたごみはゆっくりと、乾燥段→燃焼段→後燃段というふうに自動で移動しながら焼かれます。

もし炉内温度が低いと感じたときは、CRT手動操作で乾燥段もしくは燃焼段を動かします。撹拌の要領です。

撹拌後に焼かれて灰になったごみは、主灰出しゲートに落ちて地下の落下灰コンベヤへ流れます。

なお、手動操作において、後燃段は動かしてはいけません。

なぜなら、後燃段は長い秒数(約480sec)をかけてじっくりとごみを焼き尽くす場所だからです。

もし、うかつに後燃段を手動で動かすと、ごみが未燃のままで主灰出しゲートに落ちてしまう可能性があります。

数字はあくまでも一例であり目安です。全ての事業所において同様に運用はできません。】
ストーカー式焼却炉見取り図

CRTで使われるカスケードモード、オートモード、マニュアルモード

CRTで燃焼監視をする際、薬品の流量と空気流量を調整するためにカスケードモード・オートモード・マニュアルモードといった制御方法を取ります。

カスケードモードとは
カスケードモードは最小の動きで事足りるように演算で割り出された省エネ自動制御です。

温度や流量を、ひとまとめで制御しながら微調整をしてくれます。

カスケードの原義は「小さい滝」です。小さな水の流れをイメージしてください。

カスケードの定義は「小さな操作を積み重ねることで目的の結果を導き出す動作」です。

それらの原義や定義をCRTに重ね合わせると「コンピューターが自動で小さな動作を繰り返して燃焼を安定させている」と理解できます。

言わば、CRTの標準制御です。

標準制御とは、何もないノーマル設定です。

何もないノーマル設定であるため、カスケードモードでは手動操作によるカスタマイズができません。

もし燃焼状態が安定していて、流量調整をする必要がない場合は、何もせずこのままカスケードモードで続けます。

安定した燃焼状態の中、コンピューターが小さな動作で制御してくれます。

カスケードモードとは、安定した状況で活躍する、CRTのスタンダードモードです。

オートモードとは
オートモードは軽警報発報時の初期症状において使われる、言わば早期対応の処方箋です。

「燃焼状態もさほど悪くないし、公害値もまだイエローゾーン、だけど原状回復させたい‥」

そんなときに使うのがオートモードです。

軽警報レベルの燃焼温度調整や公害値抑制であれば、オートモードで手軽に原状回復ができます。

オート(自動)と謳っていますが、手動操作で任意の数字が打ちこめます。尚且つ自動で流量の微調整もしてくれます。

例えば、現場に吹き込む空気や薬品の流量を増やしたい(減らしたい)場合、カスケードからオートにモードを変更して、変更したい数字を多め(少な目)に打ち込むといったことができます。

そしてモード変更後、手動操作で任意の数字が入力されるとCRTが、その数字を現場に効果をもたらす数値として読み取ります。

その後、入力された数値を目標数値としてCRTが認識します。

そしてCRTが、その目標数値に向かい自動追従して現場に信号を送り、空気や薬品を吹き込みます。

それと並行して、自動で炉全体の状況を読み取りながら、演算しつつ流量の微調整もしてくれます。

要するにオートモードは手動制御もできるし、カスケードのように自動制御もできるといった中間的な役割です。

ちょっとした原状回復のためにカスタマイズして使う制御だと思ってください。

オート(自動)と謳っていますが、原状回復したら最後は必ず標準モードのカスケードモードに戻さなければなりません。

マニュアルモードとは
マニュアルモードは重警報発報時に緊急で使われるCRT手動操作です。

流量入力と同時に電磁弁の開閉操作もできますので、操作が直接的かつ効果的です。
(二種類の操作がひとまとめでできます)

もし燃焼状態が極端に悪い場合や公害値が極端に高い場合は、手動操作に変更をして早めに問題解決をしなければなりません。

そこで自動モードのカスケードから手動モードのマニュアルにモード変更をして、現場に効果をもたらす数字を入力します。

そのとき手動操作で打ち込まれた数字は脈動せずに固定されます。

カスケードやオートのように自動でブレません。

トレンドグラフで言うならば、波形のレンジがなくなり、一定の流量で薬品や空気を現場に吹き込む状態が続きます。

したがって、現場への影響が絶大で効果が早く現れます。

マニュアルの制御操作は、言わば、外科的治療と言ったところです。

ところが、もしそこでマニュアルモードにしたままでカスケードモードに戻し忘れてしまうと、とんでもないことになります。

多め(少なめ)に打ち込まれた数字の流量で、そのままずっと現場に吹き込まれてしまいます。

ですから、原状回復したら必ずカスケードモードに戻してください。

制御操作の戻し忘れは、よくありますから注意が必要です。

C・A・Mモードまとめ
CRTの基本モードは、あくまでもカスケード自動制御モードです。

ですが、もし公害値が上がり、各流量を多め(少なめ)にしたいとき、カスケード自動制御モードでは手動操作ができません。

そういった手動対応をしなければいけないときに、オートモードもしくはマニュアルモードを選び、モード変更をします。

モード変更をしたら、現場に効果をもたらす数字を打ち込み、原状回復まで待ちます。

原状回復したら、またカスケードモードに戻します。

例えば、オートモード、もしくはマニュアルモードを使って、CRT操作で薬品を多めに吹き込まなければならない状況を解説します。

「いまNOXの公害値が58ppmを超えたので、カスケードからオートもしくはマニュアルSV値25を入力して、アンモニアを脱硝反応塔に吹き込みます」というような感じで操作します。

SV値=設定値・PV値=現在値/入力数値はあくまでも一例であり目安です。全ての事業所において同様に運用はできません。】

👓 まめ知識

最終的に灰は灰溶融という部署で溶融処理されます。
溶融処理された灰は「スラグ」と呼ばれ、キラキラと光沢がかかっています。
美しく輝いた灰「スラグ」は化学プラント、もしくは道路工事業者に送られ、舗装道路を作るアスファルトに混ぜられます。
また、ご自宅の庭にスラグを撒くと雑草が生えにくくなります。
スラグを売っている清掃工場と売っていない清掃工場がありますので、入手の際はお問い合わせをしてください。

 

2.故障警報の監視

中央制御室にいる人はCRTで燃焼監視以外にも、故障警報の監視をします。

故障時においては、各現場設備の復旧対応の指揮をとります。

具体的に言いますと、現場で巡回点検に出ている人たちと無線で連絡を取り合い復旧対応の指示を出します。

無線が混線して現場と連絡が取れない場合は(中央監視の人が2人居る場合)1人が残って1人が現場対応に向かうといった態勢を取ります。

 

3.焼却炉と大型蒸気水管ボイラー並びにタービン発電機の立ち上げ下げシーケンス操作

ドーム球場ほどの大きさの事業所では焼却炉及び大型蒸気水管ボイラーはだいたい3炉及び3基あります。

シーケンス制御による焼却炉及び大型蒸気水管ボイラーの立ち上げ下げを、オーバーホール(メンテナンス)などの理由から3炉を巡繰りで数か月に1回行います。

蒸気タービン発電機も同様にシーケンス操作で立ち上げ下げを何年かに1回、必要に応じて行います。

因みに小型貫流ボイラーや給湯ボイラーなどはボタンひとつで発停ができますが、大型蒸気水管ボイラーの立ち上げ下げは1日がかりで行います。

解説

焼却炉と大型蒸気水管ボイラーは連結連動しています。
(大型蒸気水管ボイラーとは、廃熱式ボイラーです。1基/最大蒸発量26.1t/h)

シーケンス制御とは並んでいる順番で問題を処理をするフローチャートです。CRTにプログラムされています。

事業所によっては蒸気タービン発電機で電気を起こして電力会社に電気を売っています。

 

4.各ボイラ設備の号機切り替え操作

高温水設備、機器冷却塔ファン、各給水ポンプなどの号機切り替え操作を週1もしくは月1で行います。

以上、ここまでがオペレーション業務です。

現場作業では具体的になにをやるのか?
👷ボイラー技士が知っておくべき3つの中心的な仕事

1.焼却炉と大型蒸気ボイラーの立ち上げと立ち下げ作業

上記3.で述べました焼却炉と連結連動されている大型蒸気ボイラーの立ち上げと立ち下げ作業ですが、

それもボイラー技士として現場作業の中心となる仕事です。

この立ち上げ下げ作業、中央CRTのシーケンス操作だけでは全てを自動で処理できません。人の手が介入します。

また、給湯ボイラーで言う「ボタンひとつで発停」ともいきません。

立ち上げ下げはまる1日かけて現場作業と中央CRT操作のコンビネーションでシーケンスを進めていきます。

立ち上げ作業だけをざっくりと説明します。

立ち上げでは、蒸気で配管を温めてから蒸気配管の蒸気通気をします。

それは中央でシーケンスを進めながら、現場作業員が図面を持ち、各蒸気バルブを開けていくといった要領で行います。

作業準備段階の通ガス・通油や作業途中段階の起動・助燃バーナーの装着、取り外しなども人の手で行います。

シーケンスと聞くとどうしても人の手が介入しない全自動のイメージがありますが、実は額に汗した肉体労働も並行してあるのです。

ですから、シーケンスも現代のテクノロジーではまだまだ改良の余地があります。

将来はAI技術がもっと進歩して、AIが運営するほぼ無人の環境プラントができると私は思っています。

解説

•立ち上がった焼却炉は次のオーバーホール(メンテナンス)までの間、約3か月間に渡って24時間自動運転されます。
そして順番で次の焼却炉をオーバーホールのために立ち下げます。

•焼却炉立ち下げ後、炉内をはじめとする各ボイラ設備のオーバーホールは専門業者が対応します。

•炉内の様子を知ってもらうために、炉内点検はプラント運転員も行います。
炉内点検は専門業者と同行はしません。別行動で行います。

 

2.ボイラ設備とポンプの号機切り替え操作

各ボイラ設備の運転・停止並びに予備機への切り替え操作、各給水ポンプの予備機切り替え操作を、週1または月1で行います。

作業は現場と中央監視が連携しながら進めていきます。

 

3.休炉中のボイラドラム全ブロー・水張り・満水保缶

ボイラドラム全ブロー

本来、ボイラー停止後はボイラドラム内の酸化による腐食を防止するため、ボイラドラムは水を張ったままの状態にしなければなりません。

しかし、オーバーホールのために数週間休止しなければならない場合は、ボイラドラム内の水を全部抜きます。

これを全ブローといいます。

そのときに注意しなければいけないのはボイラドラムの真空破壊です。

真空破壊とは、水を抜く最中に空気抜き弁を開け忘れると起こる大事故です。

それはエイリアンに破壊されたような見るもおぞましい光景です。

ブロー中に現場の各空気抜き弁を開けるのは当たり前のことですが、全国各地で事故の報告がたびたびありますので注意が必要です。

そして、全ブロー後の保存法を乾燥保缶と言います。

乾燥保缶はシリカゲル・活性アルミナなどの吸湿剤を容器に入れてボイラドラム内の数か所に配置・密閉します。

そこで、ボイラ設備のメンテナンスをします。

ボイラドラム水張り

ボイラドラムに水を入れる作業です。

例として、ドラム加圧0.83Mpaまで/水位430mmで頭打ちと想定し解説します。

全ブロー後の水が抜かれた空っぽのボイラドラム内に、まずボイラ給水ポンプでボイラドラム内水洗い30分実施します。

各ドレン弁閉、エア抜き弁開の確認後、脱気器給水ポンプで水張りをします(7t/h~10t/h)

続いて脱酸剤を投入します(亜硫酸ナトリウム・オキシノンH-135×40kg)

ボイラドラム満水(430mm)により、ボイラドラム各エア抜き弁よりドレン排出を確認します。

各エア抜き弁を閉にします。

エアがみがなければボイラドラム圧(0.83Mpa)を長時間キープできます。

実際現場では圧が落ちやすいです。

数字はあくまでも一例であり目安です。全ての事業所において同様に運用はできません。】

満水保缶(短期間)

ボイラドラムへ水張りしたのち、満水の水位(430mm)とボイラドラム圧(0.83Mpa)をキープさせます。

しかし、実際はキッチリ満水の(430mm)になることはなく、エアがみなどにより(370mm)あたりで頭打ちです。

頭打ちになった水位上限とボイラドラム圧を休炉期間中維持します。

そして、水位と圧力数値が下がったらCRT手動介入でボイラドラムに給水します。

水位と圧力は水頭圧すいとうあつにより自然に落ちます。

水位と圧力が下がったら給水を何度か繰り返します。

休炉期間が終われば、炉と大型蒸気ボイラーを立ち上げます。

数字はあくまでも一例であり目安です。全ての事業所において同様に運用はできません。】

 

35歳以下のあなたへ

ここまでお読みになられていかがでしたでしょうか?

環境プラントのボイラー管理業務が、ある程度お分かりいただけたかと思います。

入社時に、これらの仕事内容を知っていると、業務がスムーズにはかどります。

要するに、アドバンテージが得られますので、今後の立ち回りが違ってきます。

また、これらの仕事内容を熟知していれば、後輩たちの指導にも生かせます。

是非、お役立てください。

ご安全に。



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