ビル管理に必要な資格|二級ボイラー技士
はじめて二級ボイラーを受験するあなたへ
ボイラー技士の資格は『特級ボイラー技士』『一級ボイラー技士』『二級ボイラー技士』の等級で区分されています。
試験の合格基準は以下の条件を全て満たして合格です。
『科目ごとの得点が40%以上で、かつ合計点が60%以上であること』とされています。
まずは下位資格の二級ボイラー技士からご説明いたします。
二級ボイラー技士
受験資格
ありません。
申し込み方法
•インターネットでの申し込み。
•各都道府県の(財)安全衛生技術試験協会、各安全衛生技術センターで受験願書を入手して、郵送で申し込み。
免許取得の条件
一般社団法人 日本ボイラ協会の条例『免許をうけることができる者』には、10か条もの免許取得の条件が書かれています。
これらの箇条書きを読んでも初心者は免許を取得するために、何をどうしていいやら分からないと思います。
何しろ難しいことが書かれているのです。
そこで、免許取得の条件をクリアするために、あなたが何をどうすればいいのかを、いちばん簡単なやり方でお教えします。
①小規模ボイラーの取扱経験等があること
②二級ボイラーの免許試験に合格していること
【出典/一般社団法人 日本ボイラ協会】
やることは二つです。小規模ボイラーの取り扱い経験と二級ボイラーの受験です。
そこで、小規模ボイラーの取り扱い経験はどうすればいいのか?
それは、「小規模ボイラーの取り扱い経験をした」という証を得るために"ボイラー実技講習会"に参加します。
実技講習を修了し二級ボイラーの免許試験に合格すれば免許を取得することができます。
なお、実技講習と免許試験の順番はどちらが先でもかまいません。
【出典/一般社団法人 日本ボイラ協会】
ボイラー実技講習会は日本ボイラ協会のHPから、お申込書[PDF]をダウンロードし、窓口・郵送・FAXのいずれかで最寄りの日本ボイラ協会に申し込みをします。
ボイラー実技講習会の日程は学科2日・実習1日の計3日の講習です。まとまったお休みが必要です。
計3日間の講習を終えて修了証をもらいます。
そして二級ボイラー試験合格後、免許申請の際にその修了証が必要です。
二級ボイラー試験日の回数
月1回ないしは2回
【試験科目・試験時間】 (出典/公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 |
ボイラーの構造に関する知識 | 10問(100点) | 13:30~16:30 3時間 |
ボイラーの取扱に関する知識 | 10問(100点) | |
燃料及び燃焼に関する知識 | 10問(100点) | |
関係法令 | 10問(100点) |
試験対策
問題集は『社団法人 日本ボイラ協会』が発行しているもので『公表問題(過去問)』と呼ばれているものをお使いください。
公表問題は各ボイラー関係のポータルサイトよりダウンロードもできます。
(ボイラー業界は、なぜか過去問を公表問題と呼びます)
公表問題は過去10回分の問題をクリアできれば大丈夫です。
(万全を期して、多目に見積もって過去10回分と表記しました)
当サイトでしか教えられないボイラー試験問題の趣向とは?
ボイラーの試験問題は『ビル管業界』の視点で問題を作っていません。
じゃあ、何の視点で問題をつくっているのか?
それは、『ごみ焼却場』の視点で試験問題を作っています。
ですから、ボイラーの試験問題は、ごみ焼却場の運転員でなければ意味が理解できない問題ばかりです。
それは、プラント事業のスケールに合わせて、どの設問も大仰に作られている感じです。
(問題のスケール感が大きい)
例えば、『シーケンス』や『ハンチング』などといった専門用語は、ごみ焼却場でしか使われません。
『シーケンス』は『計装』と呼ばれる分野の学識で、ごみ焼却場の運転員の中でも上位運転員しか理解できないような内容です。
『ハンチング』もボイラーを扱うプラントの専門用語で、他の業界では聞かれない言葉です。
少なくともビル管業界では聞いたことがありません。
ビル管業界で使われる、扱いがシンプルな炉筒煙管ボイラーや小型貫流ボイラーしか知らない人には、ピンと来ない感じの問題ばかりです。
ボイラーを勉強する新しい楽しみ方
二級ボイラーの勉強を始めたときは、「ああ、プラント事業というのはこういう仕事をしているんだ」というふうに思ってください。
ですからもし、あなたがこれから二級ボイラーを勉強するのでれば、その内容を無駄だと思わずに楽しんで勉強してください。
📚日本ボイラー協会の販売図書『日本ボイラ協会 図書オンラインショップ』
免許の特徴や印象
すべての人に好かれる資格ではないけれど、無駄ではありません。
多くの事業所では大型蒸気・温水ボイラーが廃止され、「ボイラーの時代はもう終わった」と言われています。
そして、近年では大型蒸気ボイラーに代わり、小型貫流ボイラーが主流になってきています。
小型貫流ボイラーは、特別教育を受けていれば、ボイラー技士免許は必要ありません。
ですが、現場の視点で見た場合、二級ボイラーの勉強をしていれば、設備を総合的に学べます。
それにより、頭の中で現場全体の配管図が理解できるようになるので、設備リテラシーが身に付きます。
また、専門用語も学べるので理解も深まります。
ですから、扱うボイラーが何であれ、もしくはボイラーを扱わなくても、設備の現場ではボイラーの勉強は欠かせません。
いわゆる設備の基礎となる資格です。
これから二級ボイラーの資格を取って再就職をされるあなたへ
大型蒸気・温水ボイラーを扱うための揺れない心構えを教えます。
設備業界でよくある話なんですが、採用直後の現場研修中に大型蒸気・温水ボイラーを見て絶句し、辟易してしまう方がいらっしゃいます。
「私にこんな大それたものは扱えない」と言って逃げるように会社を辞めてしまう‥なんて話があるのです。
せっかく苦労して再就職したにもかかわらず、そのような理由で会社を辞めてしまうのはもったいありません。
最初は皆、未熟です。右も左も分かりません。分からない中、日々手探りで模索しているのです。
もし、壁にぶち当たったら「これも人生のタスク」だと思い、「仕事と思うな、人生と思え」という心構えで臨んでください。
仕事の恐怖心など日々薄れていきます。
もし半月、仕事をやってみて、それでも恐怖心が拭えないようではれば、その時点で離職を決めてください。
二級所持者が活躍できる職場
『病院』
『大学』
『ごみ焼却場』
『各種プラント』
『各種工場』
『地冷(地域熱供給)』
『給食センター』
『農業高校』
『ホテル・旅館・日帰り温泉』
『百貨店・スーパー・大型商業施設』
『スポーツ施設(温水プール)』
『市区役所』
『ホール・文化センター』
『博物館』
『官公庁舎建物』
『サービスエンジニア』
※これらの各業種では、二級ボイラーだけではなく乙四の資格も求められます。
※ボイラー免許は乙四免許とワンセットで相乗効果を発揮します。
一級ボイラー技士
受験資格
本来は受験資格の項目が何か条にもわたって羅列されていますが、ここではクリアしやすい1.の条件だけに絞り、お伝えします。
"二級免許を持っていて、且つ2年以上の実務経験を持つ者"が試験合格後に一級ボイラー技士免許を取得できます。
受験願書申請の際は、添付しなければならない書類に『事業者証明書』というものがあります。
会社で『事業者証明書』に印鑑を押してもらいます。
その段階を踏んで、はじめて受験願書が申請できます。
受験して晴れて合格後、免許申請では会社で証明してもらう『ボイラー取扱い実務経験従事証明書』を添付して免許を申請します。
「免許試験受験申請書」は当協会本部、各センター又は免許試験受験申請書取扱機関一覧に示す団体で無料配布しています。
受験申請書取扱機関一覧は、次の最寄のセンターを選択してください。
【出典/公益財団法人 安全衛生技術試験協会】
一級ボイラー試験日の回数
毎年6~7回ほどです。
【試験科目・試験時間】(出典/公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 | |
ボイラーの構造に関する知識 ボイラーの取扱いに関する知識 | 10問(100点) 10問(100点) | 10:00~12:00 | 午前・午後合計4時間 |
燃料及び燃焼に関する知識 関係法令 | 10問(100点) 10問(100点) | 13:30~15:30 |
試験対策
公表問題(過去問)をお使いください。各ボイラー関係のポータルサイトよりダウンロードもできます。
📚日本ボイラー協会の販売図書『日本ボイラ協会 図書オンラインショップ』
免許の特徴や印象
初歩的な二級と高度な特級の狭間にあり、どっちものの中庸的な存在です。
人によっては「あんなもの誰でも持っているじゃないですか」と言う人もいれば、「一級を持っている人は、なかなかお目にかかれません」と言ってくれる人もいます。
大型蒸気・温水ボイラーが廃止される事業所が多い中、将来的な必要性から見て賛否あります。
特級を受験するためのステップとしてお考えください。
一級ボイラー所持者が活躍できる職場
『大型蒸気・温水ボイラーを取り扱う病院や大学』
『ごみ焼却場』
『地冷(地域熱供給)』
『電力会社』
『他各種プラント』
『サービスエンジニア』
※これらの職場では、他に電気の資格も必要です。
特級ボイラー技士
受験資格と免許申請時の留意点
•免許申請の際も一級ボイラー同様に、会社で証明してもらう『ボイラー取扱い実務経験従事証明書』を添付して免許を申請します。
【出典/一般社団法人 日本ボイラ協会】
特級ボイラー試験日の回数及び試験日
年に一回です。毎年10月の初旬に開催されます。
【試験科目・試験時間】(出典/公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
試験科目 | 出題数(配点) | 試験時間 | |
ボイラーの構造に関する知識 | 6問(100点) | 10:00~11:00 | 各科目1時間、合計4時間 |
ボイラーの取扱に関する知識 | 6問(100点) | 11:30~12:30 | |
燃料及び燃焼に関する知識 | 6問(100点) | 13:40~14:40 | |
関係法令 | 6問(100点) | 15:10~16:10 |
免許の特徴や印象
持っている方が少ない珍しい資格です。需要もあります。
特級ボイラー所持者が活躍できる職場
主に『電力会社』や『地冷(地域熱供給)』及び『各種プラント』で取扱作業主任者や統括責任者に求められる資格です。
因みに某プラントでは同資格所持者がタービン発電機工事の立ち合いに駆り出されていました。