給食センターの設備員
働く前に知っておきたい給食センターの秘密
給食センターで設備管理員の求人が出ている。
しかし、その実態がいまひとつ掴めない‥。
そんなあなたのために。
- 給食センターで働くメリットやデメリット。
- 給食センターの設備では何をするのか。
この二点をを詳しく解説します。
なお、読み進めていくうちに職場のメリットよりもデメリットばかりが目立ちます。
もしあなたが二級ボイラー技士で設備の初心者であるならば、応募の際は覚悟を決めておいてください。
設備初心者のあなたが引き返せるように包み隠さず教えます
昭和のころは各小中学校に給食室がありました。
給食のおばさんたちが丹精込めて給食を作っていました。
食器の数が合わなければ、愛想良く応対してくれました。
私は給食と聞くと、どこか懐かしい印象が頭の中で浮かびます。
しかし、平成に入ってからは給食のトラブルが目立ちました。
まず、父兄による給食費の未納と未回収が問題視されました。
さらには、栄養価と満腹感を満たさない品目が問題視されました。
ついには、異物混入事故も問題視されました。
🔥一見、のどかに見えますが実際は戦場のような職場です
平成を乗り越え、令和の今もなお、長いデフレのトンネルを進行中です。
デフレの影響による世知辛い空気は、給食センター内にも及んでいます。
長く厳しい時代が続いているせいで、働いている人たちの表情も険しいです。
※ある時期を境に、収入が激減したのも表情の険しさに追い打ちをかけました。
(※ある時期とは民間業務委託化です。詳細は後ほど)
また、時期によっては臨時で人を雇い入れるため、余剰人員を抱えます。
無駄に人が多かったりするのも、職場内の雰囲気を悪くしている原因です。
たくさんいるパート同士が、決められた持ち場だけで仕事をしています。
「私の仕事は、ここからここまで」と主張をし、お互いの縄張りに干渉しません。
🙅給食センターの調理員と設備員は公務員ではありません
90年代末から、ごみ焼却場・上下水処理場の民営化が開始されました。
給食センターでも2000年ごろから民営化の波が押し寄せました。
まず業務委託化の影響するところは、現場作業に準ずる人たちが対象です。
「調理師やボイラー技士などの現場作業に準ずる職員を対象に民間業務委託への移行とする」
というふうに各自治体が仕様として決めました。
よって、今では給食センターの調理員と設備員は民間委託会社の職員です。
反対に、業務委託化が影響されない部署があります。
それは事務方の職員と栄養士です。これまで通り公務として引き継がれています。
よって、事務員・栄養士/調理員・設備員で立場が大きく分かれています。
🥼調理員たちの班分け表
調理統括責任者○○ | |||
小学校担当 | 中学校担当 | ||
責任者 | 1名 | 責任者 | 1名 |
副責任者 | 1名 | 副責任者 | 1名 |
社員 | 若干名 | 社員 | 若干名 |
ロングパート | 若干名 | ロングパート | 若干名 |
パート | 数名 | パート | 数名 |
【請負会社により従業員の区分はすべての事業所において同様ではございません。】
🥼調理員たちの仕事の流れ
👷設備員たちの仕事の流れ
空いた時間に緊急対応が入ります。
調理員・設備員たちの人数
調理員の人数は30人ほどです。 9割が女性です。
設備員の人数は2人です。 大規模の給食センターでは3人~4人で回しているところもあります。
なお、設備員は調理員から「ボイラーさん」という変な名前で呼ばれます。
せめて「設備さん」もしくは実名で呼んでもらえると嬉しいです。(「ボイラーさん」と呼ばれるのは不快です)
調理員・設備員たちの勤務時間帯
調理員たちの勤務時間帯は6:30~15:30です。 調理員の統括責任者が施設の開錠をします。
設備員たちの勤務時間帯は早番が7:30~16:30/遅番が9:30~18:30です。 早番1人遅番1人の交代制です。 設備員の遅番が戸締りをします。施設には守衛はいません。
調理員・設備員たちが残業するとどうなるのか?
請負会社の規定にもよりますが、調理員・設備員ともに残業代は出ません。
民間業務委託化により、請負会社が入札制度で決められるようになりました。
それは、最低の請け負い金額で入札した企業が落札するという決まりです。
その決まりにより、どの請負会社も最低額の運営資金しか受け取っていません。
ですから、もし残業をすると、後日の勤務時間が等価交換として短縮されます。
言わば、変則的な早退です。例えば、ある日1時間残業をしたとします。
後日、都合のいい日を選んだら、その日の1時間、勤務時間が短縮されます。
👩栄養士のやむを得ない役割を特別にお教えします
実は、3番の調理現場の監視というのが非常に厄介です。
現場作業をする者にとっては仕事がやりずらいのです。
調理場で仕事をする人は栄養士にずっと見張られます。
何か粗相をやらかさないかを見つけては密告するという仕事です。
もし粗相をやらかした人は終業後、調理統括責任者から注意を受けます。
人の仕事ぶりを加点方ではなく、減点法で評価をするといった方法です。
これでは職場の雰囲気が、ますます悪くなるのも当然です。
仕事場に見張りがいるのでは、誰だって気が滅入ってしまいます。
建設的なコーチング方式に変えない限り、未来はないと言えます。
📰実際にあった給食センター設備管理員の求人票を紹介
【仕事の内容】給食センターでのボイラー取扱い作業
【雇用形態】正社員
【免許・資格】二級ボイラー技士・危険物乙四
【年齢】59歳以下
【休日】土日祝(6か月後取得の年次有給10日)
夏期休暇あり←(解説あり)年間休日数120日←(解説あり)
【加入保険】雇用 労災 健康 厚生
【就業時間】早番7:30~16:30 遅番9:30~18:30
【通勤手当】上限あり、3万円まで。
【賞与】あり、年二回 計 -月分 または 0万円~22万円←(解説あり)
【資格手当】一級ボイラー所持者5000円
【給料】165000円←(解説あり)
次は求人票の中から【休日】と【給料】と【賞与】を解説します。
🍸【休日】を解説/夏と冬で長期休暇を取らなければいけない理由
給食センターも休日は小中学校の休日に合わせています。
例えば、小中学校には夏休みと冬休みがあります。
それに合わせて給食センターも、小中学校の夏休みと冬休みに合わせて休日を取らなければなりません。
そして、夏休みに限って言えば長期休暇となるわけです。
そうなった場合、調理員は一か月間働けませんので、夏休みの間は他で短期間のアルバイトをします。
設備員は8月に合わせたボイラーの性能検査と調理機器のメンテナンスがありますので、夏休みの間も数日間出勤します。
その数日間に実施されるボイラーの性能検査と調理機器のメンテナンスが終わった時点で、設備員は10日ほどの夏期休暇がもらえます。
また、冬休みも小中学校に合わせて給食センターも2週間ほど休業です。
それに合わせて調理員は2週間まるまるお休みをもらえます。
反対に設備員は冬休みも夏休み同様に、ボイラーや調理機器のメンテナンスがあります。
それらが終わった時点で、1週間ほどの冬期休暇がもらえます。
💴【給料】を解説/民間業務委託化により格段に下げられた給料
起業努力でギリギリまで倹約する給食センターの実情を解説します。
165000円…民間業務委託化以降、給食センター設備員の給料は安いです。
調理員も同じくらいか、もしくはもう少し安いくらいかと思われます。
ここで昔の公務員時代の話をします。
給食センター直属の設備員だった年配者の話では「当時は月給30万円以上もらっていた」と話していました。
それと並んで別の事例では、某市役所のパート清掃員の退職金が一千万円である事態が発覚されました。
徐々に、それらのような公務員の高額支給が浮き彫りになり、民間業務委託化や事業仕分けが介入されました。
ついには羽振りの良かったころに比べた現在、給食センターで働く職員全体の給料は格段に下がりました。
話は変わりますが、給食センターの設備員はボイラー免許が必須です。
二級ボイラーの資格を持っていなければ採用されません。
ですから、「ボイラーさんは結構な資格手当と給料をもらっているのでは?」といった調理員たちからの疑いの目もあります。
💴【給料】の補足/夏休みと冬休みの給料はどうなるのか?
【休日】の解説で、調理員と設備員には夏休みと冬休みがあると申し上げました。
それで、「その間の給料はもらえるのか?」という話ですが、結論を申し上げます。
調理員も設備員も正社員に限って言えば、その間の給料はもらえます。
因みにどこの給食センターでも、給食業務を委託しているケータリング代行会社は儲かっていません。
儲かってもいないのに、どうして夏休みと冬休み分の給料がもらえるのか?
そもそも働いてもいないのに、なぜ夏休みと冬休み分の給料が貰えるのか?
それは、働いた11か月分の給料を12等分で分けているのです。
タイムカードがない理由も、給料を月割りでザックリと配分しやすいようにするためです。
💸【賞与】を解説/なんてね!実はボーナスなんてもらえません
求人票には『【賞与】あり、年二回』と謳っています。
これを見た人は「賞与がもらえる!」と捉えてしまいがちです。
しかし、残念ですが、それは会社上層部の人のみにあてはまる記述です。
その隣に書いてある『または 0万円~22万円』という記述が曲者なのです。
末端の現場労働者は0万円に該当します。つまり賞与はもらえません。
じゃあなぜそんな記述をするのかと言いますと、求人に艶を出すためです。
前年度に上層部に対して22万円を支払った実績があるのです。
それには「支払った実績は嘘ではない」という含みが込められています。
ですが、本来であれば『【賞与】なし』と記述しなければいけません。
賞与がもらえない設備員を募集しているわけですから‥。
まさにダマシの手口です。
👩給食センターで働くメリット、それは給食のおねえさんがたくさんいる
ここまで読まれたあなたは、ちょっとした詐欺に遭った気分に陥ってませんか?
ところが、給食センターにもいいところだってあります。
それは、若い女性が多いところです。
まず、調理員の年齢層は幅広いです。
20代~70代まで幅広くいます。
その中でも女性の数は圧倒的に多いです。
全体の9割が女性です。
今の世知辛いご時世を強調するかのように、就職難で若い女性も多数勤務しています。
言わば「給食のおばさん」ならぬ「給食のおねえさん」です。
なにしろ圧倒的な女性の数で男性が気圧されます。
あなたがもし40代以下で正社員として入社したならば、確実にモテます。
なぜなら、未婚の女性が多いからです。
その中には結構お美しい方もいらっしゃいます。
どの女性も男性からの積極的なアプローチを待ってるような気がします。
自分の見た目はさほど気にすることはありません。
「蓼食う虫も好すき好ずき」です。
🍽従業員の昼食は学校給食です
給食センターに勤める従業員の昼食は学校給食です。
しかし、給食が食べられるのは有難いのですが、給料天引きです。
賄いではありません。
私がいたところは別途、お茶代も月500円徴収されました。
話が横道に逸れますが、冠婚葬祭費も、その都度300円徴収されました。
しかも集まったお金を当事者に、そのまま現金で渡しません。
しょうもない贈り物に変えられます。
また、飲み会の費用も出ません。自腹です。
まあ、これらは職場のやり方にもよるのでしょう。
けれども本来ならば、お金は一部会社が立て替えるべきではないでしょうか。
【あくまでも一つの事例です。すべての事業所において同様ではございません。】
🥼衛生面はかなり細かいです
給食センターは仕込み室・調理室・洗浄室で区切られています。
入室前の流れ
白い調理服に着替えます。
(設備員もボイラー室からの移動の際は調理服に着替えます)
コロコロで調理服のホコリを取ります。
次に、手洗いを2分くらいかけて念入りに行います。
念入りなので入室の間際の手洗い場は長蛇の列になります。
また、仕込み室・調理室・洗浄室にはそれぞれ専用の靴が用意されています。
そして、それぞれの部屋に移動するときは靴を履き替えます。
🍵取っ手の無いマイカップを持参します
自分専用のマイカップを持参してくださいと言われます。
昼食用のお茶を入れるカップです。
それは「必ず取っ手が付いていないものを購入してください」と言われます。
理由は、取っ手に菌が繁殖するためです。
💩月一で検便を提出します
館内の従業員全員、毎月月末に必ず検便を提出します。
集めた従業員の検便を、まとめて保健所に提出します。
提出後、もし特定の菌が見つかった場合、その人は入館禁止です。
そうした理由から、生の魚介類やユッケなどを食べるのは禁止です。
もし、検便を提出し忘れた場合も、その人は翌月から入館禁止です。
🏢学校給食衛生講演会への出席
半年に一度、ホールを借りて『学校給食衛生講習会』が実施されます。
食中毒を防ぐための衛生指導です。
スライド観賞および講義を2時間受けます。
従業員全員必ず受講しなければなりません。
なお、場所は各自治体が指定したホールです。
📰設備員は煩雑な書類に振り回されません
設備員の待機所はボイラー室です。
ボイラー室は夏は暑くて冬は意外にも寒いです。
そのため、自分で何かしらの仕事を見つけられる人がいいと思います。
その方が暑さ寒さに影響されることはありませんし、何よりも自由です。
二人現場でしたら、個人事業主のように独立したかたちで仕事ができます。
例えば、昨日は配管工、今日は溶接工みたいな感じです。
(事業所によっては配管のねじ切りや溶接も行います)
独りが好きでモノづくりができるマルチプレイヤーが望ましいと思います。
もちろん、複数人で力を合わせて作業をすることもあります。
また、調理器具の修繕作業が多い反面、煩雑な事務仕事がありません。
ですから、書類に振り回されることはありません。
エクセル・ワードができなくても大丈夫です。
職場を高齢者のサロンにしないために
ここまでお読みになられていかがでしたか?
ビル設備管理業界は高齢者の応募だけで面接が埋まるほどです。
あるビル現場では高齢者がひしめき合い、サロン化しています。
ところが、給食センターの設備員は少数精鋭で運営しています。
どこかのビル現場のように待機室でまったりと過ごせません。
そして、どこの給食センターも設備が老朽化しています。
よって、修繕の仕事がひっきりなしで舞い込んでいるのが現状です。
また、事務員・栄養士・調理員からの監視の目もあります。
もしあなたが楽をしたいのであれば、給食センターはお門違いです。
それらを踏まえて、設備初心者が引き返せるように包み隠さずお伝えしました。
よくお考えになってからお決めください。
そして、ここから先は仕事内容をご説明します。
ご理解いただき、ご決断された方のみお進みください。
設備員の日常業務
薬注タンクレベル下限で清缶剤〇㎏投入。清缶剤〇㎏+プラント水〇ℓ(5倍希釈)【日常点検】
薬注タンクに復水配管防食剤ダイクリーンMR-514の投入。【日常点検】
軟水をコップに入れてメチルアルコールの指示薬を数滴垂らします。
もし軟水の色が青かったらO.K 反対に軟水の色が紫だったら硬度リークしています。
軟水が硬度リークしていたら軟水器に塩を入れて手動再生します。【日常点検】
pH指標【pH酸性(0)~pH中性(7)~pHアルカリ性(14)】
導電率:100以下でボイラドラム缶水希釈状態(薄い)800以上でボイラドラム缶水濃縮状態(濃い)
それらを連続ブロー量で調整します。【日常点検】
薬注ポンプが無いため、タワークリーン2.4kgを冷却塔に直で投入。【週例作業】
(タワークリーン…配管の防さび・腐食防止剤)
水質検査後に電極棒を清掃。【週例作業】
調理実習室シンク下のストレーナーを清掃。【月例作業】
ガス漏洩検知器を持ってガスコンロの漏洩点検。
電池切れや点火部の根詰まりを確認する。【月例作業】
各制御盤内の漏電遮断器の遮断テストを行います。
漏電遮断器の赤いテストボタンを押します。
ブレーカーが半落ちになったらO.Kです。【月例作業】
水槽内水抜き及び沈殿汚泥の除去と水洗い。水滴飛散マットと通気用ギャラリーの清掃。
【年次作業(夏休み)】
洗浄室外、食器食缶洗浄機用排風機吹き出し口の防虫網の洗浄【年次作業(夏休み)】
まず中央監視PCで警報解除を実施。次に高架水槽にて電極棒を外して清掃。【年次作業(夏休み)】
前準備にて、受水槽給水弁閉・制御盤受水槽給水電磁弁断→1週間後、業者による受水槽内部清掃を実施。※もし高架水槽減水警報が発報されたら受水槽に給水します。【年次作業(夏休み)】
8月(夏休み)の性能検査実施後、低水位のボイラドラム内に清缶剤(3kg×2回)を基礎投入。
※蒸気ヘッダーの圧力試験と兼ねて実施。【年次作業(夏休み)】
ベビコン冷媒バルブを閉止し、制御盤:冷凍機を停止にする。
次に冷蔵庫内の冷凍機ファンを洗浄する。【年次作業(夏休み)】
冷蔵庫用冷凍機の冷媒管を、ガス漏れ検知器で配管のふくろナットやユニオン継手からの漏れをチェック。【1回/6か月】
10月下旬~11月に空調用冷凍機と暖房用熱交換器の停止を確認。
屋上の膨張タンク(32ℓ)をブロー、並びに補給水弁を閉にして内部清掃。【年次作業10月か11月】
地下タンク残量2.800ℓで6.000ℓ受け入れ。具体的には1週間後に残3.000ℓになるあたりで1週間前に発注する。
さらには地下タンクの残量6.000ℓあたりで発注日の予測をする。
受け入れ当日はカギと検尺棒を用意して前検尺と後検尺をする。