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水道民営化の罠

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1970.9/25 東京都出身。 30代のときに異業種から環境プラントへ転職。そこで設備のノウハウを体得した後、40代でビル設備管理業界に入る。その間、数多くの現場を渡り歩きメンテナンス経験を積む。すべて実践で学んだ知識だけを初心者に伝えている。【所有資格:一級ボイラー技士・危険物乙四・第三種冷凍機械責任者・第二種電気工事士】

目次

売国政策の序章

日本の法律では、電気やガスは『電気事業法』『ガス事業法』という法律のおかげで、ガスや電気の安定供給の責任はしっかり事業者に課せられています。

つまり、電気やガスでは事業者(企業)がインフラ整備と料金面を管理して守ってくれています。

ですが、水道だけは『水道法』と『下水道法』がありますが、『水道事業法』が存在しません。

じゃあ、誰が水道のインフラ整備や料金面を管理しているのかと言いますと、各市町村の自治体です。

『水道法』と『下水道法』の元で市町村の公的機関が設置、改築、修繕、衛生維持などを行っています。

ところが、2018年5月、民間企業に公共水道の運営権を持たせるPFI法を促進する法律が可決されました。

PFIとは 【private finance initiative】

プライベート ファイナンス イニシアチブ。
これまでの公的部門による社会資本の整備・運営に民間資本や経営ノウハウを導入し、民間主体で効率化を図ろうという政策手法。

 

売国政策で得られる自治体にとってのメリット

2018年5月の法案可決により、まずは自治体が水道民営化しやすいよう、対策を企てました。

それは、企業に運営権を売った自治体は、地方債の元本一括繰り上げ返済の際、利息が最大全額免除されるようにしました。

民営化を渋る自治体の目の前にエサを撒いたのです。

日本の自治体は、どこも財政難です。

借金返済軽減という特典が付いてくるなら、今後は積極的に水道民営化を選ぶでしょう。

その際、自治体と企業がスピーディーに契約できるよう、今までの面倒なステップをなくし、ごく簡単な手続きだけでOKにします。

 

売国政策で受けてしまう自治体にとってのデメリット

「公共サービスを民間に任せることで、無駄がなくなり水道料金は下がり、サービスの質は上がるだろう」

まさか、あなたはそんなふうに思ってはいませんか?

ところが、ここに見落としてはならない事実があります。

その事実とは、『水道民営化になれば、民間水道会社がオペレーション運営はやりますけれど、インフラストラクチャー管理はしません』ということなのです。

もっと解りやすく言い換えますと、『水道民営化になれば、民間会社が水道施設の運転監視はしますけれど、壊れたときの修理はしません』ということです。

水道事業には競争がないという事実

複数の電力会社が一つの送電網を共有して電気を流す電力と違い、一本の水道管をつなぐ水道は、一地域につき一社独占になります。

つまり、水道というインフラには、利用者を引き付けるためのサービスの質、または「価格の安さで勝負しなければ」と競合他社に思わせるための競争がありません。

 

民間業務委託会社が全責任を負わないコンセッション方式

2011年3月11日、東日本大震災当日。

民主党政権は、公共施設の運営権を民間に渡し、民間企業が水道料金を決めて徴収できるよう、PFI法改正案を閣議決定しました。

これは、自治体が水道を所有したまま、運営だけ民間企業に委託するという『コンセッション方式』の導入です。

コンセッション方式を簡単にご説明します。

例えば、災害時に水道管が破裂した場合、その修理代は自治体と企業で折半します。

そこで出たわずかな利益が企業のものになります。

それと、信じられないことに、私たちが支払う水道料金が民間企業の収入源として吸い上げられるのです

水道事業における『業務委託』と『コンセッション方式』の違い

     業務委託  コンセッション方式
     運営     地方自治体    民間企業
     所有     地方自治体    地方自治体
  民間企業の業務内容検針、料金徴収、ポンプ場経営 水道事業をまとめて経営
    契約期間     毎年更新  15年以上の長期OK
   企業側の裁量  業務委託契約の範囲内  企画から実行まで全て
     収入源  自治体からの委託料    水道料金
参考資料『日本が売られる 堤未果著(2018・幻冬舎新書)』
堤オフィスで表にしていただいたことにより、コンセッション方式の内容が明らかになりました。

 

民間業務委託なのに施設上の全責任を自治体が持つ水道事業

2018年5月、PFI法を促進する法改正で、『水道施設の所有権は自治体にあり』という仕様で法律が決まりました

これは、「水道施設の運営は民間企業でやりますが、水道施設の持ち主は地方自治体ですよ」ということです。

電気やガスとはまるでコンセプトが違ってきます。

また、上記で水道施設とお伝えしていますが、これは上下水処理場だけの話ではありません。

各ご家庭まで引かれている水道配管も含まれているのです。

『水道事業法』が存在しないのをいいことに今回の法改正では、設備上の責任を事業者から自治体に付け替えられたのです。

つまり、水道民営化が決まれば、国内における水道設備全般の修繕を、これまで通り地方自治体が行わなければならないのです。

入札により、運営権利を手に入れた外資系水道会社は、怠慢な振る舞いをする恐れがあります。

怠慢な振る舞いとは、「ここからここまでは私たちの仕事で、ここから先は知りません」というやり方です。

 

フランスから忍び寄る悪魔の手がもう水道の蛇口を掴んでいる

ついに、ある地方自治体が悪魔のささやきに心を許してしまいました。

PFI法改正案が閣議決定された2011年3月11日。

それからわずか一年後の2012年3月、ついに外国企業が単独で、日本の水道事業を運営する初のケースが現れました。

仏ヴェオリア社の日本法人が、コンセッション方式で、松山市の浄水場運営権を手に入れたのです。

契約期間は5年、落札額は12億9654万円でした。

この契約により、喜ぶのは民営化推進派だけです。

これから我々一般市民は、悔やんでも悔やみきれない状況に、いずれ直面します。

なぜなら、水道事業を民営化したら、べらぼうに高い水道料金が徴収されるからです。

(因みに、浜松市も2018年4月から下水道事業の一部に、コンセッション方式が導入されました)

 

高騰した水道料金で海外では貧困層が死に絶えた

公営から企業運営になると、水は『値札のついた商品』になります。

『採算度外視でも国民に安全な水を供給する』ことを目的とする公営水道と違い、運営権を手に入れた民間企業がまず最初にやることは、料金の改定です。

世界の事例を見てみますと、民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇しています。

高騰した水道料金が払えずに、南アフリカでは1000万人が、イギリスでは数百万人が水を止められました。

さらに、フィリピンでは、水企業群(仏スエズ社、米ベクテル社、英ユナイテッド・ユーティリティーズ社、三菱商事)によって、水道代が払えない人に市民が水を分けることも禁じられました。

 

民営化して米ベクテル社に運営を委託したボリビアの悲惨な例

採算の取れない貧困地区の水道管工事は一切行われませんでした。

月収20万円の人の水道代が5万円になりました。月収の4分の1です。

高い水道料金を払えない住民が井戸を掘ると、「水源が同じだから」という理由で、ベクテル社が井戸使用料を請求してきました。

困った住民たちが、水を求めて公園に行くと、先回りしたベクテル社が水飲み場の蛇口を塞ぎ、使用禁止にしました。

最終手段で彼らが、バケツに雨水を溜めると、今度は一杯ごとに数セント(数円)徴収するという徹底ぶりでした。

追い詰められた住民たちは、汚れた川の水を飲むことになり、ついには感染症でバタバタと倒れ、大勢の人が死にました。

こうなったらもう、彼らも黙っていられません。

堪忍袋の緒が切れた住民たちは、反旗を翻しデモを起こしました。

最初、ボリビア政府はデモ隊と対立しましたが、最終的にボリビア政府は国民側に寝返りました。

ベクテル社が人を虫けらのように扱い見捨てるやり方は、まさに悪魔の所業でありました。

汚れた川の水を飲んだ住民が感染症でバタバタ死亡する間も、ベクテル社が株主たちの信頼を得るために、役員や株主への報酬を続けていました。

 

水道事業を再公営化すると莫大な費用が掛かるのを知っていましたか?

「民営化?やってみなければ、わからないじゃないか。上手くいかなければ、また国営に戻せばいい」

もしかして、あなたは、そんなふうに思っていませんか?

ところが、一旦民間に渡した事業を取り返すのは、そう簡単ではありません。

なぜなら、水道事業再公営化には、とんでもない罠が仕掛けられているのです。

水道事業を一度民営化してしまうと取り返しがつかなくなるのはなぜか?

2000年から2015年の間に、世界37か国235都市が、一度民営化した水道事業を再び公営に戻しています。(『PSIRU』公共サービス国際研究所のデータ)

公営に戻す主な理由

  • 水道料金高騰
  • 財政の透明性欠如
  • 公営が民間企業を監督する難しさ
  • 劣悪な運営
  • 過度な人員削減によるサービス低下

などです。

しかしここで、「もう嫌だ!再公営化する‼」と騒いでも後の祭りです。

なぜなら、契約打ち切りで、予定していた利益が得られなくなる企業側も、黙ってはいられないのです。

再公営化における驚愕の実態 【海外における3つの事例をご紹介】

アトランタ市の事例
貧困大国アメリカでは、水道事業の24%が民営化されています。

1998年に水道を民営化したジョージア州アトランタ市では、「水道管から泥水が噴出する」「蛇口から茶色い水が出てくる」などの苦情が多発したため、2003年に再び市営に戻しました。

市営に戻せたのはいいのですが、企業に売った水道事業の株式を全部買い戻すために、莫大な費用がかかりました。

その費用はすべて税金として、市民の肩に重くのしかかりました。

 

インディアナ州の事例
理由同じく、インディアナ州も水道事業の再公営化を申し出ました。

ところが、そのときに結んでいたヴェオリア社との契約が、まだ10年残っていたため、約29億円の違約金を支払わされました。

 

コチャバンバ市の事例
理由同じく、ボリビアのコチャバンバ市は40年の契約を途中で打ち切りました。

その際、米ベクテル社に支払った違約金は約25億円でした。

それだけのお金があればボリビアで、2万5千人の教師を新しく雇い入れられます。

また、貧困家庭12万世帯に水道を引くこともできます。

 

コンセッション方式とは名ばかりの詐欺運営

上のどの事例も、公共水道民間委託のツケを支払わされたのは納税者(地元住民)でした。

ですから、「コンセッション方式での運営はおかしい」と、運営の途中で誰もが気付くのです。

気づいた頃に、「コイツらとんでもないから排除する」とやると、株式の買い戻しや、違約金の支払いを数十億円の単位で求めてきます。

それが彼らのやり方なのです。

これは、水道メジャー参入組にとっては美味しい搾取行為なのです。

出来レースとして、前もってシナリオを仕組んでいるのです。

そして最後は、「これだけ儲かったからいいや」と言って去っていきます。

略奪行為さながらに‥。

 

世界に逆行する水道民営化

水道は消費者が企業を選べません。

つまり、「この水道会社嫌いだからこっちの水道会社を使う」という選択ができません。

そういう独占的なサービスこそ儲かります。

利用者が逃げられないのです。

そういった理由から、出来レースを仕組むために、世界では水道民営化が行われてきました。

その波が我が国に来ています。

 

すでに世界の市場は喰い荒らされた

他の国では235の都市で一度、民営化した水道事業を再公営化しています。

民営化をやめて再公営化になる二つの理由

  1. 独占的に提供している水道を株式会社に任せると、株主に配当を支払うために料金を引き上げなければならない。
  2. 一社独占の水道事業は、競合他社とのサービス競争が生まれないために、品質を下げてしまう。
    (もっと具体的に言うならば、老朽化した水道管が交換されない等)

これまで、海外では水道民営化によって、料金の高騰とサービス・品質の低下が立証されています。

そして、民営化をやめて再公営化をしています。

 

なぜ今さら日本は周回遅れの民営化なのか?

しかしながら、日本では「外国がそんな状況でも民営化をやる」と言っているのです。

なぜなら、民営化を拒否すればIMF(国際通貨機関)は、その国を容赦なくブラックリストに載せます。

国際金貸しカルテルの親玉であるIMFのブラックリストに載せられたら最後、もうその国に援助をしなくなります。

IMFは融資の条件に必ず、水道、電気、ガスなどの公共インフラ民営化を要求します。

身売りの準備が始まっている

また、仏ヴェオリア、仏スエズといった水道メジャーにとって、喰い荒らされていない美味しい市場は日本しかありません。

恐ろしいことに、水道民営化を含めたPFI法を検討する部署が内閣府にあります。

そこになんと、「ヴェオリアの日本法人が出入りしている」という情報が入っています。

つまり、「水道民営化を検討する内閣府の分室にヴェオリアの社員がいた」という信じられない話です。

 

全責任を負う『電力事業』と全責任を負わない『水道事業』

本当に水道民営化をしたいのであれば、「ヴェオリアさんが全責任を持ってやってください」ということです。

「インフラストラクチャー‥水道管とか浄水設備とか貯水タンクとか全部、自前で自治体から買い取ってください」ということです。

「その上で、オペレーションサービスも提供して、何かあった場合は全責任を取ってやってください」ということです。

要は、「震災・台風被害で断水・水道管破裂などが起こった場合、全責任を持って直してください」と住民は言いたいのです。

電力は、全てそうしています。

電力は、電気事業法の下で、電力会社が全責任を持ってやっています。

ですから、いざ実際に自然災害で停電したら、電力マンが懸命に直します。

というわけですので、ヴェオリアさん。それをやってくれるんだったらいいんじゃないですか?

水道事業法を作って、どんなに損をしても、ヴェオリアが傾いたとしても、日本の水道の復旧のために努力をしてくださいと‥。

あなたは、ヴェオリアがこれをやると思いますか?

やるわけがないのです。

 

やっと理解できる狡猾なコンセッション方式

こんな自然災害大国で水道ビジネスをしたら、大損をするのが分かっています。

ですから、自分たちが損をしないコンセッション方式というシステムを誰かが考えたのです。

我々住民にとっては、いちばんマズイ形です。

コンセッション方式とは
  • インフラの整備については、自治体がこれまで通り責任を持つ。
  • その上澄みのサービス提供部分だけを水道メジャーがやる。

これはヴェオリアにとっては、美味しい話です。

なぜなら、自然災害被害の復旧をしなくてもいいからです。

水道メジャーは、自然災害大国日本でインフラの責任まで負いたくないから、コンセッション方式を取り入れました。

 

水道メジャーが日本に参入できなかった理由

実は、仏ヴェオリアや仏スエズは、日本の水道ビジネスに参入したがっていました。

けれども、日本だから災害が起きたときにとんでもないリスクがある。

といった理由から、参入できませんでした。

さあどうしよう。

そこで考え付いたのが、コンセッション方式です。

世の中の間違ったコンセッションの認識

コンセッション方式について、よく世間で言われているのは、

  • 今回の水道民営化は、コンセッションだから民営化ではない。
  • コンセッションなんだから、自治体がこれまで通りインフラを持ち続けるから大丈夫。

なんて話が聞かれます。(地上波のコメンテーターも同様に言っています)

けれども、反対に考えてみると業務請負にとっては、めちゃめちゃ美味しい話です。

今までは、コンセッション方式じゃなかったから、話が進まなかっただけです。

しかし、本当に業務請負をやってもらうのであれば、全て責任を持ってもらわなければなりません。

 

コンセッション方式ではインフラ整備で責任問題が発生する

地震が起きて断水したら、それは自治体が直さなくてはなりません。

上澄みであるサービスの提供と、基礎であるインフラ完備が完全に分離しているので、まずは無理です。

水道施設の運転監視などのサービス→水道メジャーの仕事
水道管修理などのインフラ完備→自治体の仕事

また、この上下が分離されるという決まりは、これから末端の従業員にまで伝わるかどうかも分かりません。

地震後に、「修理に向かわなければ」というときに、水道メジャーの従業員が「えっ?俺たちが修理に向かわなくていいの?」といった見て見ぬふりな事態にもなりかねません。

仮に、緊急を要する修理を水道メジャーの従業員がした場合、そのコストは誰が持つのか…いろいろと話がおかしくなってきます。

 

実際に関西空港で起きたコンセッション方式による責任問題

2018年9月4日、関西空港で台風21号が来たときに、タンカーが橋げたにぶつかって、空港が使用不可能になりました。

そのときすでに関空では、コンセッション方式の民営化がされていました。

権利関係では、上澄みである楽なオペレーション部分は、関西エアポートという会社が担っていました。(オリックスと外資系企業の合弁会社)

基礎であるインフラの部分は、国家が担っていました。

空港の運転監視などのサービス→関西エアポートが担当
空港修理などのインフラ完備→国家が担当

ここで困ったことに、「災害が起きたけど、誰が復旧しなくちゃいけないんだ?」と、みんなで顔を見合わせてしまったのです。

権利関係において、この上下が分離されているという決まりが、末端の従業員にまで伝わっていませんでした。

しかも、関西エアポートは、日本のオリックスとフランスのヴァンシ・エアポート(VINCI)という外資系の合弁会社ですので、コミュニケーションが世界の公用語である英語です。

大災害が起きたそのときに、関西エアポートの中で英語のコミュニケーションがとれなかったわけです。

ただ、関西エアポート上層部の人たちの中には、『インフラの権利関係を知ってる人』や『英語が堪能な人』もいます。

ですから、そこは上層部の誰かが、インフラの復旧の指揮を取らなければならなかったのです。

ところが、「インフラは我々ではない。国家じゃないの?」というふうに、知りませんという態度を強行しました。

インフラが復旧しないと空港利用者が足止めを喰らいます。

また、関西エアポートの従業員たちも仕事ができません。

空港は、もはやパニックです。

大事故が起こったのにもかかわらず、誰も動きません。

上層部では、「誰が責任を取るんだ?」と言って、責任の押し付け合いになりました。

末端の従業員たちは、上からの指示を待っています。

そんな状況の中、大事故をどう処理したのか?

頭にきた国土交通省が、急場で駆けつけ主導権を取り復旧しました。

 

水道でも災害が起きたら同じことになる

水がなければおしまいです。

最後の生命線です。

しかし残念ながら、もし災害が起きたときは、民間の水道会社すいどうメジャーと自治体の間で責任の押し付け合いが想定されます。

そして、最後はこうなります。

「分かりました。別に責任をとってもいいんですけど、その代わり水道料金を上げますよ」というふうに、譲らない姿勢を取るでしょう。

次に、「そうしなければ、損害の回収ができません」というふうにも言ってくるでしょう。

あるいは、こういうふうに切り返してくるかもしれません。

「なぜ自治体は、災害で壊れたインフラをさっさと修理しないのですか?我社はおかげで大損害です。損害賠償を求めます」というふうに被害者面をする可能性だってあるのです。

日本では、こういう水道の民営化を今やろうとしているのです。

 

エネルギーをコントロールする者が国家を支配する

そもそも老朽化した水道管があるから、その交換のための民営化であったはずです。

さらにコンセッション方式を取ってしまうと、これまで通り自治体がインフラの完備を持つのだから、そこは変わりません。

やり方がおかしいのです。

なぜ、おかしなやり方を通すのか?

それは、外国からの圧力により、水道メジャーを受け入れなければいけないといった、気運が高まっているからです。

そこで、やむを得ずビジネスとして考えた場合、こうしなければ民間企業のヴェオリアとかが入りたくても入れません。

ですから、そういうことであれば、本来は電力事業と同じやり方でやらなければいけないのです。

しかし、さすがに日本の水道事業が電力事業のように、全責任を持ってやるというのは意識が高すぎます。

もう、株主に配当金を支払うどころか、どんどん資本を食いつぶしてしまうでしょう。

なぜなら、震災大国だからです。

しかも、それは、未知数です。

ですから、水道メジャーの提案を受け入れて、コンセッション方式が採用されたのです。

痛い目に遭うと解っていながらです。

 

水道料金が5万円の時代が来るかもしれない

かえすがえすも、コンセッション方式の採用が、間違いの始まりです。

本当に、水道の民営化をやるのであれば、全ての責任を負ってもらわなければなりません。

それも、これまでと変わらない水道料金を継続してやってもらうのです。

法外なお金を取るやり方など、言語道断もってのほかです。

けれども、民間参入組にとってはそれが嫌なのです。

話が逸れますが、今、安倍政権はここまでやろうとしています。

最初の水道民営化は、地方がターゲットです。

『宮城・栃木・埼玉・静岡・広島・愛媛・福岡・熊本』
これらの県の、ある市町村では、上下水道施設運営権の一部をヴェオリアが手に入れています。

「まずは、地方からテストマーケティングをしていこう」という魂胆でしょう。

現段階では、地方に参入しても儲かりませんが、これから儲かる方法を模索するかもしれません。

そして、次に狙われるのが東京・大阪です。

2018年6月、大阪市では、市内全域の水道メーター検針・計量審査・水道料金徴収業務を、ヴェオリア日本法人に委託しました。

大阪市では、まだ本格的にコンセッション方式で、水道施設の運転監視オペレーション業務はしていません。

ですが、いずれは上下水処理場の運転監視業務にも参入するでしょう。

前述の「水道民営化を検討する内閣府の分室にヴェオリアの社員がいた」という事実から、都市部の水道民営化構想は進んでいます。

人口密度が高い場所が儲かるところです。

水道業務で彼らがやるのは、上澄みの部分であるサービス提供です。

サービス提供というのは、水道メーター検針・計量審査・水道料金徴収業務ならびに上下水処理場の運転監視業務です。

仮に、もし大都市でインフラ整備も任されたら、たまったものではありません。

なぜなら、震災に遭遇すれば、いきなり断水100万世帯という被害になるからです。

そこは今まで通り、自治体に責任もってやってもらった方が、ヴェオリアにとっては楽なのです。

ですから、サービス提供の部分だけを、ヴェオリアはやりたがるのです。

そして参入後、何かことあるごとに自治体に難クセを付け、水道料金の値上げ交渉をするでしょう。

その際、値上げの言い訳も考えてくるでしょう。

そのとき、彼らは自治体にこのように申し入れをします。

「これこれこういった費用がかかります。嫌ならもうやりません」

・・・

そんなこと言われたら、自治体だってNOとは言えません。

それが彼らの手口です。

参考資料
『日本が売られる 堤未果/幻冬舎新書2018年10月5日第一刷発行』
『月刊三橋 三橋貴明/web contents 月刊三橋2018年12月号・2019年1月号』
『スライブ DVD/「エネルギーを制せば全大陸を制す」 ヘンリー・キッシンジャー国務長官 1973年』
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